グスタフ・クリムトの『接吻』は駆け落ちの絵?モデルは?絵の技法も解説

グスタフ・クリムトの『接吻』は駆け落ちの絵?モデルは?絵の技法も解説

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この記事では、グスタフ・クリムトの作品『接吻』について解説します。『接吻』はグスタフ・クリムトの代表作で、金箔を用いた官能的な絵画です。当時のウィーン社会では卑猥な作品だと批判を受けたこともあったそうですが、今なお注目され続けていますよね。

そんな『接吻』ですが、男女の駆け落ちをテーマにした作品ではないかといわれているそうです。それは事実なのか、モデルは誰なのか、そして絵に用いられている技法についても詳しく解説します。

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クリムト『接吻』とはどんな作品?

『接吻』はグスタフ・クリムトの代表作であり、「黄金様式」の頂点とされる作品です。金箔を大胆に用いた画面の中で、男女が抱き合い、口づけを交わす親密な瞬間が描かれています。人物は写実的でありながら、背景や衣装は抽象化され、現実と象徴世界が融合した独特の空間を感じますよね。この作品は官能性と精神性、愛と永遠性を同時に表現しています。当時のウィーン分離派の象徴として、今なお高く評価されています。

クリムト『接吻』のモデルは?

グスタフ・クリムトの『接吻』のモデルについては、公式な記録が残されていません。そのため、現在も複数の説が存在しているそうです。その中でも最も有名なのが、クリムトと深い関係にあった女性エミーリエ・フレーゲという説。一方で、特定の人物ではなく「理想化された男女像」と見る研究者も多くいるようです。接吻のモデルが誰なのかという問題は、作品を解釈する上で重要な論点となっていますよ。

エミーリエ・フレーゲ説

接吻のモデルとして最も有名な説が、エミーリエ・フレーゲです。

Google Art&Cutureによると、エミーリエ・フレーゲはクリムトと生涯にわたり親密な関係を持っていました。はじめは恋愛関係として惹かれ合った2人ですが、最終的には精神的なパートナーになった可能性が高いとか。実際に、クリムトとエミーリエは結婚することも、子どもをもうけることもありませんでした。

架空の人物説

接吻のモデルにおける別の有力説では、特定の人物を描いたものではなく、クリムトが理想とする「愛の象徴」を具現化したものだとされています。クリムトは多くの女性をモデルにしましたが、実は作品では個人性を薄め、普遍的な女性像を描いているんです。そのため、一部の研究では「モデルを特定すること自体が作品の本質ではない」という解釈も、広く支持されているそうです。

『接吻』のテーマは?

グスタフ・クリムトの『接吻』のテーマは、単なる恋愛表現にとどまりません。愛、官能、精神的な融合、そして永遠といった、複数の要素が重なっています。よく、接吻が駆け落ちの瞬間を描いているとも言われますが、これは1つの解釈に過ぎません。以下では、接吻のテーマとして存在している複数の解釈をご紹介します。あなたの感覚で、ぜひ接吻という作品を見てみてくださいね。

愛と官能

『接吻』では、肉体的な接触と精神的な一体感が同時に表現されています。唇が触れる直前の緊張感や、女性の閉じたまぶた、男性の包み込むような姿勢は、官能性を強く感じさせますよね。しかしそこに露骨さはなく、純粋に2人が愛し合っていることが窺えます。これはクリムトが目指した「崇高な官能美」であり、単なる性愛表現ではなく、愛そのものの神聖さを描いていると解釈されています。

駆け落ち

『接吻』でもっとも多く推測されているテーマは、駆け落ちです。この男女は、花咲く草原の端、崖のようにも見える場所に立っていますよね。

男女が接吻を交わす場所としてはやや不安定な構図に見えることから、「社会や現実から離れ、2人で別の世界へ旅立つ様子」と解釈され、それが駆け落ちだといわれることがあります。ただし、これは象徴的な読み方であり、実際の物語設定があるわけではありません。

永遠の愛

接吻は、金箔に包まれた空間が印象的な作品です。金箔を用いることで、非現実的で、時間や場所を超越した世界を表していますよね。この男女は現実世界から切り離され、永遠の瞬間に閉じ込められているかのようにも見えます。このことから、接吻は一瞬の出来事ではなく、永遠に続く愛を象徴する作品として、解釈されることが多くあるそうですよ。

クリムト『接吻』の技法について

『接吻』は、クリムトの技法的到達点とも言える作品です。特に評価されているのは、金箔を使用していることです。また平面的構成で、装飾的な要素と実物に忠実な技法が融合されていることも分かりますよね。これらは、日本美術やビザンティン美術からの影響を受けたものなのだそうです。以下にて、くわしく解説していきましょう。

金箔を使用している

クリムトの『接吻』には、本物の金箔が用いられています。これはビザンティン美術やモザイク画から影響を受けた技法で、神聖さや永遠性を強調する効果があるそうです。日経ビジネスによると、金箔を使った表現は日本美術からも影響を受けているのだとか。クリムト以外にも、当時のヨーロッパでは「ジャポニズム」といわれ、陰影のない平面的な表現や浮世絵の色彩感覚を取り入れていたそうですよ。金は光の反射によって画面の印象を変え、見る者に非現実的な感覚を与えますよね。

遠近法を使わず平面的な作品

クリムトの『接吻』には、背景や衣装に遠近法がほとんど用いられず、平面的に作られています。幾何学模様や渦巻き、花文様が画面を埋め尽くしているのが印象的で、絵画というより「装飾」のような印象を与えますよね。当時のウィーンの主流思想は「写実的でリアルな芸術こそが正統で優れている」という考え方でした。クリムトの『接吻』は、そんなウィーンから分離した理念とも深く結びついています。

人物だけがリアルに描かれている

クリムトの作品は『接吻』に限らず、平面的な背景とは対照的に、顔や手足はリアルに描かれています。抽象的な背景に、リアルな人物。この対比によって、人間の感情や存在感がより際立つように表現されているのですね。特に、女性の表情や手の柔らかさなどはより忠実に再現されており、作品に人間的な温度を含んでいます。装飾的な世界の中で、実在する人間だけが強いリアリティを保っていますね。

まとめ

クリムトの『接吻』について詳しく解説しました。接吻は男女の駆け落ちを表現した絵だとされていますが、公的なバックグラウンドやモデルについては明言されていないことが分かりました。作者亡き今、どのような思いと歴史があってこの作品が世に出されたかは、不明瞭な部分もあります。だからこそ現代ならではの解釈も生まれ、作品の楽しみ方が豊富になってきていますね!

この記事を書いた人

サイトにアクセスしていただきありがとうございます!関東在住のオフィスワーカーこころです。ヨーロッパへの旅行が好きで、その中で美術館を訪れる機会が増えたことで絵画に興味を持つようになりました♪これまで興味がわかなかった方も楽しんでアートを身近に感じてもらえるような情報を発信していきます。

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