ネオンカラーがあふれる不思議な世界に、大きな目の女の子がふわりと浮かぶ絵を見たことがある方も多いかと思います。描いたのは、世界中のアーティストファンから熱い視線を集めている画家のロッカクアヤコです。そのロッカクアヤコはどんな人物でなぜこれほど人気なのか、奈良美智に似ているという声は本当なのかを紹介していきます。
ロッカクアヤコは何者?
ロッカクアヤコは、絵筆を使わずに指や手のひらで直接絵の具をのせて描く、千葉県出身の現代アーティストです。美術大学には通わず独学で絵を始め、現在はヨーロッパを拠点に世界各地で作品を発表しています。
| 名前 | ロッカクアヤコ(六角彩子) |
| 生年月日 | 1982年1月24日 |
| 出身 | 千葉県千葉市 |
| 活動拠点 | ポルトガル・ポルト |
| 主な画材 | アクリル絵の具、ダンボール、キャンバス |
| 作風 | 大きな目の女の子と色あふれる風景 |
ダンボールに描かれた作品が多いのも特徴で、手軽な素材から生まれた絵が海外の美術館に並んでいるのは驚きです。
ロッカクアヤコの経歴
子どものころから落書きが好きだったロッカクアヤコが本格的に絵を始めたのは、20歳くらいのときでした。自分にできる表現を探していたなかで、絵を描いて初めてしっくりきたと本人はインタビューで語っています。
2002年ごろから東京の公園で、段ボールにアクリル絵の具を手で塗る制作をスタートさせました。どこでも手に入って軽く立てかけやすい段ボールは、今も彼女のお気に入りの素材になっています。そんな彼女にとって大きな転機となったのが、村上隆が主宰する若手アーティストの登竜門『GEISAI』への参加でした。
GEISAIの受賞から世界へ
GEISAIでの受賞をきっかけに活躍の場は一気に海外へ広がり、ヨーロッパを拠点に世界中で作品を発表するようになりました。
| 年 | 主な出来事 |
| 2006年 | GEISAIでスカウト賞を受賞 |
| 2010年 | ドイツ・ベルリンへ移住 |
| 2011年 | オランダのクンストハル美術館で個展 |
| 2012年 | スロバキアの美術館で個展 |
| 2019年 | ポルトガル・ポルトへ拠点を移す |
| 2020年 | 千葉県立美術館で国内公立美術館初の個展 |
| 2023年 | 上海・成都の美術館で個展、ベルリンで個展 |
| 2024年 | 日本(東京)で7年ぶりとなる個展 |
千葉県立美術館の個展『魔法の手』では、新作を中心に約160点もの作品が一度に並び、大きな話題を集めました。
ロッカクアヤコはなぜ人気?
ロッカクアヤコの作品は、国籍や年齢を問わず、子どもから大人まで多くの人に愛されています。日本のポップカルチャーに通じるかわいい女の子が目を引き、抽象画のような大胆な色づかいが1枚に同居しているのが魅力です。
しかしロッカクアヤコの作品はただかわいいだけの絵ではないところがポイントで、本人はハッピーなだけでは生きていけないと語り、絵には生々しさも必要だと考えています。明るさとほんの少しの毒が混ざり合うからこそ、見るたびに新しい発見があるのかもしれません。
下書きなし・指で描く唯一無二の技法
最大の特徴は、筆を使わずに手に直接アクリル絵の具をつけ、下描きなしで描き進める技法。手で絵の具に触れて描かないと描いている気がしないのだと本人はインタビューで語っています。あらかじめ構図を決めず、目的のない散歩をするような感覚で手を動かしながら絵が生まれるのを待つスタイルです。
そこから小さな花や動物、目の大きな女の子たちが次々と浮かび上がり、夢のようにカラフルな風景ができあがっていきます。近年は絵の具から体を守るために手袋を使うこともありますが、細かい部分は今も指先で仕上げているそうです。
目の前で作品が生まれるライブペインティング
ロッカクアヤコは、観客の前で絵を描くライブペインティングでもよく知られています。身長156cmと小柄な彼女が、ときには幅7mもの巨大なキャンバスに全身を使って色をのせていく姿は圧巻です。自分よりずっと大きなものに描くと、さまざまな色が体の中を流れ出していくように感じるのだそう。
2011年のクンストハル美術館では、館内に再現したアトリエで3週間毎日描き続け、その様子はネットでも中継されました。絵が完成するまでの過程そのものを観客が一緒に楽しめるのも、ロッカク作品ならではの魅力です。
オークションで1億円超え!
ロッカクアヤコの人気の高さは、アート市場での落札価格の数字にもはっきり表れています。2022年7月に東京で開かれたSBIアートオークションでは、2017年に描かれた無題の作品が約1億8400万円で落札されました。
さらに2024年上半期には、1974年以降に生まれた作家を対象とした売上ランキングで9位に。この期間に出品された作品の約76%が落札されたというデータもあり、市場での人気ぶりがわかります。ただし本人は、こうしたオークションの記録は自分や作品を正しく表すものではないと感じているそうです。
ロッカクアヤコの代表作・作品シリーズ
ロッカクアヤコの作品の多くには「Untitled(無題)」というタイトルがつけられています。そのため作品名よりも、素材やシリーズごとに覚えておくと作品を探しやすくなります。
| 作品・シリーズ | 特徴 |
| ダンボール作品 | 初期から描き続ける原点 |
| キャンバス作品 | ネオンカラーの風景を描いた大作 |
| 《Magic Hand》(2020) | 千葉県立美術館の個展で展示 |
| ルイ・ヴィトンのトランク | 古いトランクに手で描いたシリーズ |
| シェイプド・キャンバス | 宇宙戦争がテーマの変形キャンバス |
| 木版画 | アダチ版画研究所とのコラボで制作 |
| ブロンズ作品 | 2023年に上海のLONG MUSEUMで発表 |
奈良美智の作品に似ている?
ロッカクアヤコの絵を初めて見て、奈良美智の作品を思い浮かべたという人は少なくありません。どちらも目の大きな女の子を描く日本人作家で、海外での評価が高い点も共通しています。ただ、2人の作品を実際に見比べてみると、描き方や雰囲気の違いがはっきりわかります。
| 比較ポイント | ロッカクアヤコ | 奈良美智 |
| 美術教育 | 独学 | 国内外の美術大学で学ぶ |
| 描き方 | 指や手で直接描く | 太い輪郭線で形を簡略化 |
| 女の子の印象 | 色の中を軽やかに漂う | 挑むような目つき |
奈良美智の女の子は見る人をじっと見つめ返すのに対し、ロッカクアヤコの女の子は色の世界を自由に遊んでいる印象です。
まとめ
ロッカクアヤコは筆を使わずに指で描く独学のアーティストで、GEISAIでの受賞をきっかけに世界へ羽ばたきました。奈良美智と似ていると言われることもありますが、描き方や作品の雰囲気はまったく違います。美術館やギャラリーで作品を見かけたら、ぜひ指のあとや細かいところまでじっくり眺めてみてください。


