1970年の大阪万博のシンボルとして知られる太陽の塔。しかし、その顔の一つが盗まれたという衝撃的な事件があったことをご存じでしょうか。また、独特なデザインから「怖い」と感じる人も少なくありません。
本記事では、太陽の塔の顔が盗まれた経緯やその後の行方、さらに生みの親である「岡本太郎」が込めた意味と、怖いと言われる理由について詳しく解説します。
太陽の塔の顔はなぜ盗まれた?
太陽の塔の顔が盗まれたといわれる背景には、行方不明になった「地底の太陽」と、実際に発生した黄金の顔の盗難事件があります。ここでは、その真相と経緯を解説します。
行方不明になった「地底の太陽」
太陽の塔には、現在見られる「黄金の顔」「太陽の顔」「黒い太陽」のほかに、「地底の太陽」と呼ばれる第4の顔が存在していました。地底の太陽は1970年の大阪万博開催時、地下展示空間に設置されていた巨大なオブジェです。
生命の起源や人類の根源的なエネルギーを象徴する存在として制作されましたが、万博開幕後の撤去作業を経て行方が分からなくなりました。保管記録が十分に残されておらず、現在もオリジナルは発見されていません。
そのため、盗まれたという噂が広まり、盗まれた顔と呼ばれるようになったようです。
全長3メートルもあった巨大オブジェの記録が残っていないなんて…
余分するのも大変なのでどこかにあるのでは!
実際に盗まれたのは黄金の顔の一部だった
一方で、太陽の塔では実際に盗難事件も発生しています。2010年3月、塔の頂部に設置されている黄金の顔の左目部分が何者かによって持ち去られていることが判明しました。盗まれたのは直径80センチのステンレス製部品で、重さはおよそ10キロあったとされています。
高さ約70メートルの場所に設置されていたため、どのように盗んだのかと大きな話題となりましたが、後に代替部品が取り付けられ、現在は修復されています。
犯人が名乗り出た「アイジャック事件」
黄金の顔の盗難事件は、その後さらに奇妙な展開を迎えます。事件発覚から約2か月後、アイジャックと名乗る人物が報道機関へ声明文を送付したのです。声明では、自らが目玉を持ち去ったと主張し、「太陽の塔を世界遺産にしたい」という趣旨のメッセージが記されていました。
その後、盗まれた左目は兵庫県内の施設で発見されます。大きな損傷はなく、返還されたことで事件は解決へと向かいましたが、犯人の詳細な動機や敬意には不明な点も残っています。
「盗まれた顔」が2つ存在するため混同されやすい
ネット上で「太陽の塔の顔が盗まれた」と検索すると、地底の太陽の行方不明と黄金の顔の盗難事件が混同されているケースが少なくありません。地底の太陽は正式には行方不明、黄金の顔の左目は実際の盗難事件という違いがあります。
しかしどちらも顔が消えた出来事であるため、一緒に語られることが多く、太陽の塔の顔はなぜ盗まれたのかという疑問に繋がっているようです。現在、地底の太陽は復元モデルが公開されている一方、黄金の顔も修復されており、太陽の塔は大阪・万博記念公園のシンボルとして多くの人を見守り続けています。
太陽の塔が怖いと言われる理由
太陽の塔は大阪万博の象徴として知られていますが、その独特な造形から「怖い」と感じる人も少なくありません。本記事では、岡本太郎が生み出した太陽の塔がなぜ恐怖感を抱かせるのか、その理由をわかりやすく解説します。
太陽の塔が怖いと言われる理由とは
太陽の塔は、岡本太郎氏が1970年の大阪万博のために制作した巨大モニュメントです。その圧倒的な存在感と異質なデザインは、人間の根源的なエネルギーや生命力を表現した芸術作品として知られています。
一般的な建築物ような機能美よりも、見る人の感情を揺さぶることを重視しているため、初めて見た人に強いインパクトや不安感を与えやすく、怖いという印象につながります。さらに巨大なスケールと独特な構造が、人々に強い違和感を与える要因となっています。
異様なデザインと3つの顔のインパクト
太陽の塔には3つの顔が存在し、それぞれ過去・現在・未来を象徴しています。しかし、そのデザインは現実的な人体表現から大きく離れており、特に巨大な目や無機質な表情は強い視線の圧を感じさせます。
また、異なる時間軸を一つの塔に表現している構造も理解しにくく、不思議な印象を与えます。こうした要素が重なり、見られているような感覚や不気味さを生み出し、怖いと感じる人が少なくありません。
岡本太郎の「常識を壊す芸術思想」
太陽の塔の不気味さは偶然ではなく、岡本太郎氏の芸術思想に基づいた表現です。岡本太郎氏は「芸術は人間の本能や感情に直接訴えるべきだ」と考え、既存の価値観や常識を打ち破ることを重視していました。
そのため太陽の塔は、整った美しさよりも強烈な存在感や違和感を優先したデザインとなっています。見る人に安心感を与えるのではなく、感情を揺さぶることで強い印象を残す作品であり、それが怖さとして受け取られる要因となっているようです。
生命の樹が生み出す異世界感
太陽の塔の内部にある生命の樹は、単細胞生物から人類への進化を立体的に表現した展示です。内部は照明が抑えられ、巨大な構造物の中を進むような空間になっているため、現実とは異なる世界に入り込んだような感覚を味わえます。
また、展示されている生物模型も独特な造形が多く、どこか異様な雰囲気を漂わせています。そのため教育的な展示でありながらも、圧迫感や緊張感を覚える人がおり、怖いと感じる理由の一つです。
都市伝説やスピリチュアルな噂の影響
太陽の塔はその独特な存在感から、ネット上でさまざまな都市伝説やスピリチュアルな話題の対象となっています。パワースポットや特別なエネルギーがある場所といった話が語られる一方で、不思議な圧迫感を感じるという声も。
こうした情報が広まることで、作品本来の意味とは別に神秘的で不気味なイメージが形成されてきました。SNSや口コミの影響もあり、怖いという印象がさらに強まっていると考えられます。
最後に
太陽の塔の顔が盗まれたといわれる背景には、行方不明となった「地底の太陽」と、実際に発生した黄金の顔の盗難事件がありました。また、その独特なデザインや岡本太郎の芸術思想から「怖い」と感じる人も少なくありません。
こうした謎や魅力こそが、半世紀以上たった今も太陽の塔が多くの人を惹きつけ続ける理由といえるでしょう。

