表現主義とは|絵画の特徴や歴史・ドイツ2大グループの活動についても

皆さんは表現主義という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

表現主義は20世紀初頭にヨーロッパで起こった芸術運動とされており、知名度は表現主義・印象派よりも低いですね。しかし、表現主義も芸術運動・思想の中では重要な役割を担っており、印象派やロマン主義とは違った特徴があるとされています。

そこで今回は、表現主義とは何か、絵画の特徴や歴史、ドイツ2大グループの活動について解説します。

表現主義とは|絵画の特徴や歴史について解説

ロマン主義や印象派といった芸術思想・運動はフランスを中心としたヨーロッパで行なわれることが多かったです。しかし、表現主義はドイツを中心としたヨーロッパで巻き起こったとされています。

美術についてそこまで詳しくない人の場合、表現主義がどういったものなのか知らないのではないでしょうか。

それでは、表現主義とは何か、絵画の特徴や歴史について詳しくみていきましょう。

特徴

表現主義とは、20世紀初頭のヨーロッパで興った芸術運動で、絵画や音楽、文学、映像、建築といった芸術分野に影響を与えたと言われています。

表現主義は風景や日々の情景といった目に見えるものを描くのではなく、人間の内面的な感情や主観を強く表現することを目的とした絵画の流派です。印象派が外界の光や色の印象を描こうとしたのに対し、表現主義は人間の心の中にある感情、恐れ、不安、苦悩、希望を色や形で表そうとしました。また、現実をそのまま再現するのではなく、感じたことをゆがめたり、誇張したりしたのが特徴です。

急激な発展によって誕生

表現主義が誕生した背景には急激に発展したことなどが影響しているとされています。表現主義が誕生した時代は産業革命による経済的発展や政治的変化などの疲弊があり、人々の生活は大きく変化しました。

しかし、便利で煌びやかな都市生活を手に入れた一方で、一部からは不平不満や孤独感が増大して社会が不安定になってしまいます。

そして、それまで日常の情景などを描いていた画家たちも、不安などの感情や社会問題に焦点を当てるようになり、表現主義が誕生しました。

表現主義の源流

社会情勢などの変化によって誕生した表現主義ですが、ノルウェーなどの北欧諸国やドイツが源流だとされています。

そして、多くの人に名前と作品が知られているノルウェーの画家であるエドヴァルド・ムンクが表現主義の先駆けであるとされているようです。エドヴァルド・ムンクが描いた『叫び』は、人間の不安や孤独、死への恐怖といった心理的テーマを、激しい色彩と歪んだ形で描き出しました。このような内面や心の叫びといった部分を視覚化する手法が、のちの表現主義の出発点となるとされています。

ムンク以外の画家

表現主義の代表格としてエドヴァルド・ムンクの名前が挙げられることが多いですが、他にも有名な画家は多くいます。

  • エルンスト・ルートヴィヒ・キルヒナー:ドイツ
  • ワシリー・カンディンスキー:ロシア
  • フランツ・マルク:ドイツ
  • エゴン・シーレ:オーストラア
  • オスカー・ココシュカ:オーストリア

生まれなどに違いがありますが、それぞれの作品には表現主義の特徴が盛り込まれているので、気になる人は比較などをしてみると面白いかもしれないですね。

表現主義ドイツ2大グループの活動についても

表現主義と言っても、2つのグループがあることをご存知でしょうか。

20世紀初頭のドイツには、「青騎士」と「ブリュッケ」と呼ばれる2大グループがありました。どちらも20世紀初頭のドイツを中心に活動した芸術家グループですが、目的や作風、思想の方向性が大きく異なります。

それでは、表現主義ドイツ2大グループである「青騎士」と「ブリュッケ」について詳しくみていきましょう。

ブリュッケは1905年

表現主義の1つである「ブリュッケ」は1905年にドイツのドレスデンという州都で誕生しました。「ブリュッケ」にはエルンスト・キルヒナー、エーリッヒ・ヘッケル、カール・シュミット=ロットルフ、フリッツ・ブライルといった画家などが所属していたそうです。

「ブリュッケ」というドイツ語は「橋」という意味があるそうですが、結成されてから8年後の1913年にメンバー同士の対立によって解散してしまいました。

未来への架け橋

短い期間しか活動していなかった「ブリュッケ」ですが、グループ名にはある想いが込められていました。「ブリュッケ」には橋という意味があり、伝統的な芸術と未来の新しい表現をつなぐ橋になりたいという願いが込められていたとされています。

「ブリュッケ」に所属する画家はアカデミーの形式的な教育に反発し、もっと人間的で、感情的で、本能的な芸術を追求し、鮮やかな色彩や大胆な線、歪んだフォルムなどが特徴でした。

また、アフリカ美術やオセアニア美術や木版画といったことに関心を持ち、積極的に制作していたそうです。

1911年に誕生

表現主義の2大グループの1つである「青騎士」は、1911年に誕生したとされています。元々「青騎士」は1909年にワシリー・カンディンスキーという人物がミュンヘン新芸術家協会というグループを立ち上げました。しかし、ミュンヘン新芸術家協会内部で亀裂が生じたことをきっかけに、ワシリー・カンディンスキーは脱退してフランツ・マルクと共に「青騎士」を作ったようです。

「青騎士」は1911年から1924年にかけて活動を行ない、ドイツ表現主義の基礎となったとされています。

青色が特徴

「青騎士」の特徴はグループ名にもなっているように、作品に青色が使われていることです。「青騎士」の色彩理論では、青という色は平和や穏やかさを象徴するものとされており、人の内面を表しているとも考えられています。

「青騎士」が結成された頃に描かれた『青い馬』という作品は現実的なことではなく、精神世界が描かれている象徴として紹介されることが少なくありません。そんな「青騎士」は他の芸術思想・運動とは違い、芸術的宣言がないグループで自らがそう名乗っていたわけではなかったそうです。

まとめ

今回は表現主義とは何か、絵画の特徴や歴史、ドイツ2大グループの活動について解説しました。

芸術思想は前の時代のものを受け継ぐこともあれば、全く異なることに重きを置くこともあり、芸術はその時々によって特徴が大きく違うのが面白さなのかもしれないですね。また、「ブリュッケ」と「青騎士」のように同じ芸術思想であっても、微妙に異なる部分があるので比較しながら鑑賞してみたりするのも良いのではないでしょうか。